「事業再生版 令和の虎」坂口貴徳氏が語る、美容サロンが生き残るための経営
【この記事でわかること】
・なぜ坂口貴徳氏が美容業界の構造改革に人生を賭けているのか
・店長を置かない組織づくりが、なぜ強いサロンをつくるのか
・一社経営の限界と、そこから抜け出すための新しい経営の選択肢
目次
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1. 坂口貴徳氏とは何者か
坂口貴徳氏は、株式会社CHAINONエンターテイメント代表取締役です。「事業再生版 令和の虎」に虎(審査員)として出演し、数々の美容室や事業の再生に向き合ってきた実績を持ちます。自身も美容師で、店長という役職を置かない組織運営や、韓国発の大手ヘアサロン「JUNO HAIR」の日本マスターを務めるなど、既存の美容業界の常識にとらわれない経営を実践してきた人物。YouTubeチャンネル「CVC channel」でも、現場のリアルな経営ノウハウを発信し、業界内外から反響を集めています。

2. 「なぜこんなに辞めていくんだろう」原点にある違和感
──坂口さんが美容師を志したきっかけを教えてください。
坂口氏:中学生の頃、近所にできた美容院に初めて行ったことがきっかけです。それまで身なりにまったく興味がなかったんですが、初めてプロにカットしてもらって、周りから褒められたのが嬉しくて。そこから毎月通うようになって、気づけば美容の道を目指すようになっていました。
──進学については、ご家族の反対もあったそうですね。
坂口氏:そうですね。進学校に通っていたこともあって、専門学校に行くことには家族からかなり反対されました。それでも自分の意志を貫いて、美容の道に進みました。
──実際に美容師として働き始めてからは、いかがでしたか。
坂口氏:大型サロンに就職して、多くの同期と切磋琢磨する毎日でした。ただ、当時の労働環境はかなりハードで、体調を崩してしまった時期もあります。その中で強く感じたのが、「美容師という仕事自体は本当に素晴らしいのに、業界の構造そのものに問題があるのではないか」ということでした。
この違和感こそが、のちに坂口氏が独立し、業界の構造改革に取り組む原点になっています。
3. 勝てるサロンの共通点は「店長を置かない組織」
坂口氏が展開するサロンの大きな特徴のひとつが、「店長を置かない」組織づくりです。一見大胆に思えるこの仕組みには、明確な理由がありました。
──店長を置かないというのは、かなり思い切った決断だったのではないでしょうか。
坂口氏:もともと疑問だったんです。美容室って小さな組織なのに、店長、副店長、アシスタントリーダーと役職がどんどん増えていく。役職が増えるほど組織は縦割りになって、風通しが悪くなりますし、意思決定も遅くなります。しかも、店長になる基準がだいたい「売上が高い人」か「在籍年数が長い人」なんですよね。マネジメント能力やコーチング能力が備わっていない状態で役職につくと、現場がうまく回らなくなるケースを何度も見てきました。
──代わりにどんな仕組みを取り入れたんですか。
坂口氏:当時、Googleなどの大手企業が「コミュニティマネージャー」という役職を採用していたんです。縦割りで命令するのではなく、みんなの意見を吸い上げて風通しよく進めていく。この考え方を美容室にも取り入れられないかと思いました。スタッフには役職ではなく、ファシリテーション能力やコーチング能力を身につけてもらう。今では1on1を強化しながら、一人ひとりの力を最大化できるマネジメントに進化させています。
役職ではなく能力で組織を動かすという発想は、「財務評価しかできない」「売上でしか評価できない」という多くのサロンが抱える課題とは対照的なアプローチと言えます。
坂口氏は「オーナーが勉強していないから、評価基準も売上しかなくなってしまう」と指摘し、経営者向けの勉強会を長年続けてきたといいます。

4. なぜ「一社経営」の時代は終わったのか
坂口氏がいま最も力を入れているのが、「ボランタリーチェーン」という仕組みづくりです。フランチャイズのように加盟金を払って傘下に入るものではなく、複数のサロンが緩やかに連携し、大きな一つの組織のように振る舞うことでスケールメリットを生み出す仕組みだといいます。
──なぜ、一社単独での経営には限界があるとお考えなんですか。
坂口氏:個人で戦うと、情報も入ってこないし、入ってきても遅い。コストは高くなりがちだし、人材も集まりにくい。経営が不安定になりやすいんです。実際、「どうしたらいいですか」というDMが毎日のように届きます。競争するより、一緒に作った方が早いというのが僕の結論です。
──具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。
坂口氏:わかりやすいのは材料費や決済手数料の交渉です。仲間が増えれば増えるほど、規模を背景にした交渉ができるようになります。加盟店が多い今は、これから2万店舗規模になれば、さらに大きな条件で交渉できるようになるはずです。あとは教育コンテンツですね。動画やAIによる相談窓口、幹部教育の勉強会など、一社では用意しきれないものを、みんなで共有できる状態にしています。
坂口氏はこの仕組みを「コストコ型モデル」と表現します。商品そのものから利益を取るのではなく、会費制で成り立たせることで、参加する一社一社が本来なら負担しきれないコストダウンや教育投資の恩恵を受けられる。ひとり暮らしとシェアハウスの違いに例え、「同じ環境で戦うなら、良い環境を一緒に作った方が早い」と語ります。
「一社だけで悩んでいる意味がわからない。」坂口氏のこの言葉には、業界全体で情報や成功事例を共有し、同じ課題で足踏みする時間をなくしたいという強い思いが込められています。

5. 坂口氏×トーコンが再びタッグ、8月6日セミナー第2弾のご案内
今回の記事の元となったオンライン対談セミナーの大反響を受け、坂口氏とトーコンの第2弾無料セミナーの開催が決定しました。
テーマは「なぜ、あのサロンには若手が集まり、辞めないのか?」
今回は坂口氏の成功事例の紹介だけにとどまりません。創業以来60年以上、採用支援の最前線を走ってきたトーコンが、採用と定着の視点からも坂口氏の組織づくりに切り込みます。
アーカイブ配信はありませんので、ぜひリアルタイムでご参加ください。

【当日聞けること】
・若手が集まるサロンは、何を伝えているのか
・「教えなくても育つ」教育は、どう実現するのか
・店長がいなくても、なぜ現場は回るのか
・普段の発信では見えない「失敗と運用」の実態
・採用のプロだからこそ聞ける、「集まる理由」と「辞めない理由」のつながり
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「事業再生版 令和の虎」坂口貴徳氏と徹底議論 なぜ、あのサロンには若手が集まり、辞めないのか?
まとめ
坂口貴徳氏へのインタビューを通して見えてきたのは、「一人で抱え込まない経営」という一貫した姿勢でした。過労で体調を崩した下積み時代から、店長を置かない組織づくり、そして一社経営の限界を超えるためのボランタリーチェーンまで。坂口氏の歩みは、常に「業界の構造そのものを変えたい」という思いに支えられていました。
求人広告や採用手法を工夫するだけでは解決できない、組織づくりや経営の在り方そのものに向き合うタイミングが来ているのかもしれません。坂口氏が提唱するCVCのように、「一社で抱え込まず、仲間と作る」という視点は、経営基盤そのものを見直すうえで大きなヒントになるはずです。
一方で、日々の求人コストや採用チャネルの見直し、スタッフが定着する仕組みづくりなど、目の前の実務レベルの課題については、美容サロンに特化した支援を行うトーコンも、そのお手伝いができるかもしれません。「まずは自社の現状を相談してみたい」という段階でも、お気軽に私たちトーコンへお声がけください。
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