【体験企画】全盲の私がGoogleMapで人気ラーメン屋を探して同僚とランチに行ってみた
みなさん、こんにちは。
トーコンで働く広報 兼 制作グループ 兼 パラアスリートの日向です。
前回に続き、全盲である私が様々な立場の人たちと対談や体験をして、お互いに新たな発見を得ようという企画です。
前回の、
【インタビュー】「見る」ことができない全盲の私と「見た目」を重視して仕事をするデザイナーで対談してみた
は、大変多くの反響をいただき、本当に嬉しかったです!今回も張り切ってまいります。よろしくお願いいたします。
さて、第2回目は「全盲の私がGoogle Mapで人気ラーメン屋を探して同僚とランチに行ってみた」です。
皆さんは、普段外出先などでGoogle Mapを使うことはありませんか?
普段なかなか訪れない街や地域で、「今日の昼ごはんどうしようかなぁ~美味しいラーメン屋とかないかな?」とスマホで調べて、「あっ、結構近くになんだかよさそうな店あるな」「家系いいじゃん、チャーシューも好みな感じだな~」「口コミの感じも良い評価多めだし安心だなぁ」なんて考えながら、そこまでの近道を調べて行ってみる。
そんなことって良くあるんじゃないかと思うんです。
実は、私もかなりの頻度で使用しています。
それこそ知らない場所で、旅行先、またちょっと気分転換に近所で。意外と感じられるかもしれませんが、「見えない」私にとってスマホは必需品で、その中で店探し&移動においてGoogle Mapの使用頻度はかなり高い。
そんな僕が今回一緒に企画に取り組むのは丸山さん。普段美容室や飲食店など様々なお客様に、MEO(マップエンジン最適化)というGoogle Mapに掲載する自社の店舗情報の改善や運用などについて企画・提案をしているそうなんです。でも、そんな彼も「見えない」人がどのようにGoogle Mapを使っているかは想像がつかない様子・・・。
だったら実際にGoogle Mapを使って、お互い大好きな「ラーメン」を求めて会社周辺でランチに出かけてみようという話になりました。ぜひ、ご覧ください。
メンバー紹介
日向 賢(ヒナタ サトル)
ブラインドサッカーの選手として活動をしながら、トーコンの社員として広報・WEB制作関連の仕事もしています。好物はラーメン。
日向(以下、H):
本日はよろしくお願いします。
丸山(以下、M):
こちらこそよろしくお願いします。日向さんとちゃんと話すの初めてだし、めっちゃ楽しみにしてました!
H:
ホントですか(笑)
ちなみに、丸山さんっていわばGoogle Mapのプロ、なわけですよね?
M:
自分でプロ、というのはちょっと気恥ずかしいですが、はい、そうです。
H:
おお、心強い。ちなみに私もGoogle Mapは結構使うんですよ。
M:
いや、それをこの前聞いて驚いたんです。確かに日向さんにとっては「見えない」中で、何かの場所を探すとか、道順を考えるとか、僕が普段やってるように「見て」探すことが出来ないわけですもんね。・・ただ、とは言ってもGoogle Mapをどうやって「見る」んですか????
H:
見るんじゃなくて「聞く」んですよね。2019年に、Google Mapには視覚障がい者向けの音声ガイド機能が追加されたんです。ほらこんなふうに・・・
M:
うわ、めちゃ早口!
H:
慣れるとちゃんと聞き取れるようになりますよ(笑)実は、世の中には視覚障がい者向けの道案内アプリって色々あるんです。だけど僕はやっぱりGoogle Mapを使うことのほうが多くって、メールだったり結局Googleのサービスを使ってるってのもあると思うんですけど。
M:
こういう読み上げを聞いて、道順確認したり、どの店いこうかなとか考えたりするんですか?
H:
そうです。美容院とか探して、口コミ確認したりしてます。
M:
そうか~・・・そういう調べ方とか僕らと全く同じなんですね。ていうか日向さん美容院いくんですね。
H:
いきますよ!(笑)
■実際にラーメン屋を検索してみよう
M:
じゃあ早速今日行く店を探しますかね。
H:
この辺、水天宮とか人形町とか、有名なラーメン屋結構あるって聞いたんですよ。
M:
僕好き嫌いないんで、どんなラーメンでもいけます!
H:
僕もです。う~ん・・まずは「近くの美味しいラーメン屋」とかで調べてみますか。
M:
おお。けっこう出てくる。
H:
う~ん、悩む。
M:
しかし、日向さん日焼けヤバいっすね・・・関係ない話ですけど。僕が白すぎんのかな・・・
H:
野外でずっと練習してるんでどうしても焼けちゃうんですよ。自分じゃ見えないし比べようがないんでわからないけど、色んな人に言われるんで相当黒いのかな(笑)・・あ、なんか蟹のラーメンってのがあるみたいです。蟹って珍しくないですか。
M:
蟹🦀!?
H:
うん・・・「自家製麺と、蟹と豚骨を合わせたオリジナルラーメンを提供」・・・なるほど、濃厚そうだけど、とにかく美味しそうとしか想像できないですね。口コミ見てみましょうか。「蟹出汁ラーメンという唯一無二感のあるラーメンです」「カニ好きにはたまらない、いくらでも食べられそうな美味しいラーメン」うん、口コミだけでお腹すいてきますね。
M:
あ、口コミのところにある「クチコミの多いトピック」って何になってます?これ、口コミの中の似たようなキーワードを自動的にピックアップしてくれるって機能なんで、ここでその店の特徴とか人気のポイントがわかるんですよ。
H:
へぇー、そうなんですね。う・・・んと、「雑炊」ってのが100超えてますね。
M:
やばい。ラーメン食べたあとご飯をいれて雑炊に出来るんだ!!
H:
うわ~!それはやんちゃだ(笑)
■いざ、出発
H:
では、向かいましょう。僕がナビをするって企画なんで、丸山さんは場所とか調べないでください。
M:
楽しみだ~。あ、日向さん何か僕サポートすることあります?
H:
ありがとうございます。たぶん大丈夫だと思うんですけど、何かぶつかりそうとか危ない時はさすがに教えてください。
M:
了解です。
H:
まずは・・・こっちかな。行きましょう。
M:
なんだかドキドキします・・・
M:
だいたいの位置関係とかわかるんですか?あ、手前に車が駐車しているんで左ぶつからないようにしてください。
H:
ありがとうございます。そうですね~、普段良くいく場所とかは記憶しているんですけど、滅多にいかないところはなかなか難しいですよね。電車の乗り継ぎとかけっこう緊張しますよ。
M:
たしかに見えてる人間でも迷う時は迷いますからね。ちなみに日向さんがお店を探すときに困るのってどんなことですか?
H:
う~ん、入り口がわからないってことはけっこうありますね。たぶんこの辺なんだろうなって思っても、どこが入り口かがわからないとか。
M:
あ~、そうか。看板とか見えないんだし、そりゃそうだ。
H:
お店の情報を掲載するときは「●●の隣です」とか、「1階にマツモトキヨシがあって、店の向かって右側に階段があるのでそこから2階に上がってください」とか、場所や入り口を詳しく書いてあるとすごく助かりますね。すごく気まずいのはネットで探して目当ての居酒屋を探してるときに、いかにも雰囲気が居酒屋っぽいしここだろうと思って入って「それは隣です」って言われちゃうことで。同じ居酒屋同士が並んでるとかありがちじゃないですか。マジであれは困る。
M:
たしかに気まずい(笑)
H:
うーん・・
M:
お店はもう近い感じですか?
H:
ほんとは徒歩15分くらいで着くはずだったんですが、結構歩いてますよね。なんだか通信状況が良くないのか今、読み上げが止まってて。・・・あ、つながった。こっちだ。
M:
冒険気分だ。
H:
たぶんこの先のほうだと思うんですけど。見えますか?
M:
向こうのほうに並んでる人いますね。あれだ!crab台風。さん、めちゃオシャレな店だ。うぉ~、テンション上がってきた!
H:
今日は丸山さんと一緒だからいいんですけど、普段1人とか見えない人間同士だと、勝手がわかんなくて困ることがまぁまぁあります。
M:
確かに、メニューとかその場で見て決めるとかできないし、券売機の場合だと何がどれかも見えないですね。
H:
お店の方が大抵教えてくださるんですけど、でも忙しそうなときだと申し訳ないなぁって気持ちにはなります。だから、お店側で情報をネットにリアルタイムに載せてもらえているのはとてもありがたいんですよ。商品名、お店の説明、1つ1つの金額。あと購入のルールとか、手順とか。いくら店内に張り出されていても僕らには見えないですし。ちなみに、日本には視覚障がいを持つ人が今31万人いると言われてるんですけど、これって「斉藤」って苗字の人と同じくらいの人数なんですよ。
M:
えっ、そうなんですか?斉藤なんてめちゃくちゃ良くある苗字じゃないですか。
H:
視覚障がいってそこまで珍しい存在じゃないんですよ。僕のような全盲だけじゃなく、弱視やロービジョンと言われる視力が低い・視野が狭いとか、いろいろな状態の人がいるということも意外と知られてない。実は「見えない」ことに不便さを感じている人って意外と多いってこと、知ってほしいんですよね。
M:
普段僕は営業として、色んなお店の集客やPRについて提案をしているわけですけど、どうしてもそこで想定するのって「自分だったら」って視点なんですよね。でもそうすると、いわゆる自分と同じ立場の人間のことしか想像できない。今日一緒に調べたり歩いたりして、自分が普段見えてなかった部分に気づけた感じがします。実は視覚障がいの人と話したの、僕初めてですから。バリアフリー属性や、LGBTQフレンドリー・トランスジェンダー対応とか、それ以外にも改めてお店として色々アピールできることや工夫できることありそうだと思いました。お客様にも話してみたいです。あ、順番が来ましたよ、入りましょう。「蟹そば 雑炊セット」をふたつ・・・はい。
H:
うわ、楽しみだ。店内も匂いが蟹ですね・・・すごい・・・
M:
きました!うわ~、美味そう・・・日向さん、やけどしないようにしてください。いただきま~す。
H:
いただきます。・・・うっ、やばい、蟹だ。口の中が蟹です。
M:
うまっ。
H:
ずずっ・・・
M:
ずずっ・・・
H:
これは・・・想像をはるかに超える蟹感です。美味い。
M:
・・・・語彙が浮かばないですが、とにかく美味いです。雑炊も完食!無事、美味しいラーメンにたどり着けました。ごちそうさまでした!!
■企画を終えて
・・ということで、無事私のナビゲートで人気ラーメン屋さんに行くことが出来ました。
丸山さんは普段、全社の営業ミーティングなどで発表などされている姿をよく見て(聞いて)いたのですが、個別にに話したのは今回が初めてでした。このように直接対話し、一緒の体験をすることで距離が縮まったなと感じました。
※もしこれをご覧になられてMEOについて相談してみたいというオーナー様や店長様がいらっしゃいましたら、いつでもこちらからご相談ください!
MEO対策とは?SEO対策との違いや、メリット・デメリットを解説
前回もそうですが、やはりお互いに意見を交換し合うことで、よりよい世界が作れそうだと実感します。
今後も様々な立場の方との対話・体験を通じ、ダイバーシティについてetcもっともっと深く考えていきたいと思います。
もっとトーコンの多様性の考え方や、組織のダイバーシティについて詳しく話を聞きたい、そんな方はお気軽にお問合わせください。
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