「さん」の次は「よん」! 組織エンゲージメント向上への挑戦「よんクスポスト」って?
近年、企業における重要な経営課題の一つとして「従業員エンゲージメント」が注目されています。「職場(企業・団体)と従業員の関係性」や「自社と顧客との関係性」を指す言葉ですが、単なる従業員満足度やモチベーションとは異なり、会社と個人の相互信頼関係を表すのがエンゲージメントとなります。しかし、リモートワークの浸透や働き方の多様化により、その維持・向上が困難になってきています。
そんな中、トーコンでは2024年4月から「Thanksポスト」をスタートし、さらに「よんクスポスト」へと進化させた新しい組織づくりの取り組みを行っています。
今回は「Thanksポスト」の発起人である高橋と、「よんクスポスト」の名付け親である奥田に、組織エンゲージメント向上への取り組みについて話を聞きました。
高橋 杏子
キャリアリクルーティング事業 1G ゼネラルマネージャー 2014年入社
「Thanksポスト」プロジェクトの立ち上げを行う。
奥田 眞丈
組織コンサルティング事業 ゼネラルマネージャー 2007年入社
「Thanksポスト」を改名する際に、「よんクスポスト」を提案!
組織エンゲージメントの課題とThanksポストの誕生
奥田👨:こんなふうに改まって話すのは少し緊張しますね(笑)
高橋👩:はい(笑)‥では、早速。組織エンゲージメントって、よく従業員満足度と混同されがちですが、実は全く異なる概念だと思うんです。私たちが考えるエンゲージメントというのは、「会社と従業員の間の相互信頼関係の強さ」を表すものだと思っていて。
奥田👨:そうですね。Society5.0時代に向けて、組織の価値の中心が「ヒト」や「ナレッジ」にシフトしている中で、このエンゲージメントの重要性は増す一方だと感じます。
高橋👩:とはいえ、現状の多くの組織では、売上や利益といった数値化しやすい成果や、目立つプロジェクトばかりに注目が集まりがちだと感じてもいて。その陰で、日常的な業務や縁の下の力持ち的な役割が見えづらくなっているというか‥
奥田👨:特にリモートワークが進んで、以前より「誰が何をしているのか」が見えにくくなりましたからね。
高橋👩:私が入社した時、トーコンにはMVS(Most Valuable Staff、月に一度、いい仕事をした仲間に投票する仕組み)という表彰制度がありました。でも、運用の煩雑さや、どうしても大きな成果や目立つ行動に注目が集まりやすく…
奥田👨:運用の煩雑さもあって、結局は中断してしまったんですよね。その反省から「Thanksポスト」が生まれた、と。
高橋👩:はい。GAS(Google Apps Script)を使って内製ツールを開発し、誰でも気軽に感謝の気持ちを送れる仕組みを作りました。立ち上げ初月から利用率80%を超える反響があったのは、とても嬉しかったです。
Thanksポストの限界とリスタートの必要性
高橋👩:その後も「Thanksポスト」は確かに高い利用率が継続し、常に50%以上の安定した利用が続いたんです。ただ、運用を続ける中で、そもそもの本質的な課題が見えてきました。
奥田👨:本質的な課題‥というと、具体的にはどんな点?
高橋👩:大きく3つです。1つ目は「感謝」という枠組みの限界です。例えば、誰かの仕事から学びを得たとき、それは純粋な「感謝」というより「賞賛」や「学び」の共有だったり。でも、それを「ありがとう」という言葉に押し込めるのは少し違和感がある。
奥田👨:なるほど。コミュニケーションの幅を広げる必要性のようなものですか?
高橋👩:そうですね。あと2つ目は「評価との連動」の問題です。せっかく可視化された貢献ですから、実際の評価制度や1人ひとりのキャリア形成にうまく活かせればいいのにと感じました。
奥田👨:そこは同感で、私も組織コンサルタントとして様々な企業の評価制度を見てきましたが、日常的な貢献をきちんと評価に反映できている企業は意外と少ないですよ。
高橋👩:3つ目は「当事者意識の強化」です。「エンゲージメントの高い会社」を目指すのではなく、「自分たちでエンゲージメントを高めていく」という意識が必要だと。そのためには、より従業員が主体的に参加できる仕組みが必要でした。
奥田👨:つまり、Thanksポストは「感謝を伝える」というファーストステップとしては成功。でも、本当の意味での組織エンゲージメント向上には、もう一段階の進化が必要だった。そこで新たなメンバーを公募し、ネーミングも含めてプロジェクトを再構築することにしたということですね。
高橋👩:そうなんです。取り組みの社内周知を行う【社内広報班】、より使いやすいシステムに改良する【技術班】、この取り組みを社外に発信し顧客やトーコンの求職者へ情報提供を行う【社外広報班】という3つの班を設けて公募したところ、予想以上に多くの手が挙がりました。特に印象的だったのは、異なる部署、異なる経験を持つメンバーが集まってくれたことです。
「よんクスポスト」による新たなアプローチ
奥田👨:まず最初に着手したのはネーミング変更。感謝だけじゃない、組織エンゲージメント向上へと進化するということを周知するために、Thanksポストという名称を変えると宣言。公募も行い沢山の候補が集まりましたが、結果私のものが選ばれました。ダジャレでThanksのサン(3)から4に進化するから「よんクス」‥まぁそれもあるんですが(笑) この名前を提案したのは、単なる感謝に留まらない、より包括的な相互フィードバックの仕組みにしたかったからです。
高橋👩:これまでは「感謝」を送り合うものだったのを、「感謝」に加え「賞賛」「学び」「協力」という4つを送り合うものなんだと。これらはまさに現代の組織に必要な価値だと考えています。特に、従来の評価制度では見落とされがちだった「学び合い」や「協力」という要素を入れたのは画期的でしたよね。
奥田👨:はい。具体的な例を挙げると、営業担当者が大きな成約を上げたとします。それ自体はもちろん素晴らしいですが、それを支えたバックオフィスの緻密な作業も同様に価値があります。また、若手の斬新な提案から学びを得たベテランの「気づき」が発信されると、それが組織の財産になります。その他にも、誰かのプレゼンから学びを得た、困っている同僚をサポートした時など。そういった日常的な価値創造の瞬間を可視化したかったんです。
高橋👩:そうですね。実際に運用してみると、部門を超えた協力関係や、普段は表に出てこない支援業務の重要性も見えてきました。
組織変革のツールとしての可能性
奥田👨:私の経験上、組織コンサルティングの現場でよく見るのが、「エンゲージメント向上施策」と「評価制度」が別々に運用されているケース。でも、よんクスポストは両者を自然な形でつなげられる可能性を秘めています。数値では測れない貢献も、『周囲からの評価という形で可視化できる』、ということです。
高橋👩:確かにそうですね。ただし、これは短期的な成果を求めるものではないという点も大切だと思います。
奥田👨:その通りです。エンゲージメントの向上は、まさに中長距離走。すぐに結果は出なくても、確実に組織の底力を上げていく取り組みですしね。
高橋👩:将来的には、この仕組みをお客様にもご紹介できればと考えています。というのも、エンゲージメントの課題って、どの組織でも共通しているものが多いと感じるんです。
奥田👨:特に今、多くの企業が「ハイブリッドワーク時代のエンゲージメント向上」に悩んでいます。よんクスポストは、その一つの解決策になり得ると思います。
高橋👩:最後に強調したいのが、この取り組みで特に大切にしているのは「送る側の行動も評価する」という点。感謝を伝えられる人を育てることも、組織づくりの重要な要素だと考えています。エンゲージメントの本質は相互信頼関係。その意味で、発信する側を育てることも同じくらい重要なんです。
奥田👨:まさにその通りですね。組織のエンゲージメントを高めるには、相互に認め合い、高め合える文化づくりが不可欠。よんクスポストは、そんな組織文化の醸成を支援するツールとして、これからも進化を続けていきたいと思います。
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