新卒採用説明会を見直すべき3つの理由|アンケートでわかった学生に選ばれる会社説明会とは

新卒採用市場は空前の売り手市場を迎えています。マイナビの調査によると、2025年卒の内々定率は4月で6割以上、6月には8割を超える状況となっており、企業間での人材獲得競争がますます激化しています。そんな中、多くの企業が見落としがちなのが「会社説明会の質」です。
しかし、会社説明会の記憶定着率は平均38.8%という現実をご存知でしょうか。つまり、せっかく開催した説明会の内容も、6割以上は学生の記憶に残っていないのです。
また、東京商工会議所が2025年1月に行った調査によると2025年新卒者の採用環境(採用市場)について尋ねたところ、「厳しい採用環境である(採用が困難)」と回答した企業の割合は96.4%に達し、採用計画人数の半数を満たせない企業が40.3%を占めるなど、多くの企業が新卒採用に苦戦していることが明らかになっています。
これらの課題解決の鍵は、学生の本音に基づいた説明会の見直しにあります。本記事では、トーコンが実施した若手社員への詳細なアンケート調査結果を基に、学生に選ばれる説明会の要素を分析し、具体的な改善方法をご提案します。
【この記事でわかること】
・新卒採用説明会を見直すべき3つの理由
・若手社員の本音から見える理想の説明会の要素
・志望度を高める具体的な説明会改善方法
・プロと協働することで得られるメリット
目次
1. 新卒採用における説明会の現状と課題
新卒採用市場の動向
新卒採用を取り巻く環境は、近年大きく変化しています。厚生労働省の調査によると、大学等卒業予定者の就職内定状況は高水準を維持している一方で、企業側からは採用の困難さを訴える声が増加しています。特に中小企業においては、大手企業との人材獲得競争が激化しており、従来の採用手法では優秀な人材の確保が難しくなっているのが現状です。
この背景には、少子高齢化による労働人口の減少と、企業の採用意欲の高まりがあります。多くの企業が新卒採用数を維持または増加させたいと考える中、限られた学生を奪い合う構図が生まれています。その結果、従来の採用手法では優秀な人材の採用が難しくなっているのが現状です。説明会への参加学生数の確保や、参加者から応募者への転換率向上が、多くの企業にとっての課題となっています。
説明会が採用成功に与える影響
説明会は新卒採用における重要なタッチポイントです。しかし、多くの企業の説明会は「情報を伝える場」としてのみ機能しており、「志望度を高める場」としての役割を十分に果たせていません。
【POINT】
学生にとって魅力的で記憶に残る説明会を実施することで、応募率向上はもちろん、入社後のミスマッチ防止にもつながります。特に、企業の魅力や働く環境を具体的にイメージできる説明会は、学生の企業選択に大きな影響を与えるのです。
2. 若手社員の本音から見える説明会の実態
記憶に残る説明会の特徴
トーコンでは、入社から3年以内の新卒社員を対象に「説明会に関するアンケート調査」を実施しました。その結果から見えてきたのは、学生の記憶に残る説明会には明確な特徴があるということです。
記憶に残る説明会の特徴として最も多く挙げられたのは、以下の要素でした。
1. インタラクティブな進行方式
「事業内容をクイズ形式で教えてくれた」「バラエティー番組のようにひな壇で先輩社員が多数参加し、楽しい雰囲気で進行していた」など、一方的な説明ではなく、学生が参加できる仕組みがある説明会が印象に残っています。
2. リアルな職場の様子
「仕事の様子をわかりやすくリアルにまとめた動画の視聴」「各部署の社員が登壇してリアルな仕事の説明を丁寧にしてくれた」など、実際の働く姿がイメージできる内容が高く評価されています。
3. 個別性が高く密接なコミュニケーション
「参加学生2人、社員2人の説明会。リアルな話をたくさん聞くことができた」「少人数のルームに分けて話しやすく実施してくれた」など、個別性の高い対応が記憶に残りやすいことがわかりました。
一方で、「動画を流すだけの説明会」や「学生の質問に対して非論理的な答えを返していて『ないな』と思った」といったネガティブな回答もありました。つまり、会社説明会の質が企業イメージに直結することが明らかになりました。
若手社員が最も聞きたい情報
説明会で「一番聞きたいこと」について聞いたところ、圧倒的に多かったのは「リアルな職場の声」でした。具体的には、「新卒2年目の先輩の声」「働いている方の実際の声」「ネット上の情報だけでは伝わらない社内の雰囲気やぶっちゃけた話」といった回答が上位を占めました。
また、「具体的な業務内容」「その会社ならではの魅力」「入社後のイメージがつくような内容」なども高いニーズがあることがわかりました。これらの情報は、学生が企業選択を行う際の重要な判断材料となっており、説明会でしっかりと伝えることで志望度向上につながります。
注目すべきは「いいところだけじゃなくネガティブな情報を伝えてくれると信頼できる」という声があることです。透明性の高い情報開示は、学生からの信頼獲得につながる重要な要素といえるでしょう。
不要と感じた情報
一方で、説明会に「なくてもいい」と感じる情報についても調査しました。最も多かったのは「ホームページやパンフレットに掲載している情報」で、他には「社長の経歴」「大きすぎる理念」「細かい規則」といった回答がありました。
また、進行面では「学生からの質問を待つ時間」「参加者もマイク音にしての自己紹介コーナー」「自己分析セミナー」なども不要とされており、学生は効率的で価値のある時間を求めていることがわかります。
【POINT】
これらの結果から、説明会では「その場でしか聞けない情報」「その企業独自の魅力」に焦点を当てることが重要であり、一般的な企業情報や形式的な内容は最小限に抑えるべきであると言えるでしょう。
3. 説明会の記憶定着率38.8%という現実
理想的な説明会の時間とは
アンケート調査では「説明会の何%を覚えていますか?」という質問も行いました。その結果、平均記憶定着率は38.8%という衝撃的な数字が明らかになりました。つまり、どんなに時間をかけて準備した説明会でも、その内容の6割以上は学生の記憶に残っていないということです。
記憶定着率の内訳を見ると、20%しか覚えていないと回答した学生が22.2%と最も多く、続いて70%覚えているという学生が16.6%でした。この結果から、説明会の質によって記憶定着率に大きな差があることがわかります。
また、「説明会の理想的な時間」について聞いたところ、最も多かったのは45分(33.3%)で、続いて60分(28.5%)、30分(23.8%)という順でした。
【POINT】
長時間の説明会は学生の集中力を削ぎ、かえって記憶定着率を下げる可能性があることがうかがえます。
司会者とデザインの重要性
説明会の成功には、内容だけでなく「誰が」「どのように」伝えるかも重要です。「司会者のことは気にしますか?」という質問では、77.3%が「すごく気にする」と回答しました。これは予想を大きく上回る数字で、司会者の印象が説明会全体の評価に直結することが明らかになりました。
印象に残った説明会の特徴として「とにかく司会者が明るく楽しい説明会でした」というコメントもあり、司会者の個性や魅力が学生の記憶に強く残ることがわかります。
さらに、「説明会資料のデザインは気にしますか?」という質問では、82%が「気にする」と回答しました。デザインされていない説明会資料に対しては「魅力的に感じない」「手を抜いていそう」「社内のDX化も進んでいなさそう」といった厳しい評価が寄せられています。「若者を受け入れる体制がなさそう」というコメントもあります。
【POINT】
説明会の司会者、説明会資料のデザインは志望度にも影響を与える重要なポイントと言えるでしょう。
4. 志望度を高める説明会の3つのポイント
トーコンは、志望度を高める説明会のためのポイントは、「興味関心」「動機形成」「不安払拭」だと考えます。それぞれについて説明します。
興味関心を引く工夫
学生の志望度を高める説明会の第一のポイントは、「興味関心を引く工夫」です。例えば次のような工夫ができます。
司会者の自己紹介による親近感の醸成:
「二人で話している時の雑談みたいな職場の雰囲気が分かる和やかな説明会」「台本を読む感じがなく、その人の言葉で語っている説明会」といったコメントから、司会者が自分自身のことを語ることで、学生との距離を縮められることがわかります。趣味や特技、入社のきっかけなどの自己開示は、相手に共感や親近感を深めやすくする効果があります。
クイズ形式でのインタラクティブな進行:
「事業内容をクイズ形式で教えてくれた」という印象に残った説明会の事例があるように、一方的な情報提供ではなく、学生が参加できる仕組みを取り入れることが重要です。クイズの内容や選択肢を工夫することで、企業の特徴を楽しく伝えながら、学生の記憶にも残りやすくなります。
動機形成につながる要素
第二のポイントは、「動機形成につながる要素」の提供です。学生が最も聞きたい情報として挙げられた「リアルな職場の声」「具体的な業務内容」を効果的に伝えることが重要です。例えば次のようなコンテンツです。
配属予定部署の若手社員によるインタビュー:
「新卒2年目の先輩の声」「各部署の方が参加していて生の声で伝えてくれる説明会」といった声がアンケートににあるように、実際に配属が想定される部署の若手社員に登場してもらうことが効果的です。年齢の近い先輩の話は親近感を与え、入社後のイメージを具体化させる効果があります。
「激録密着24時」のような動画コンテンツ:
「1日密着みたいな動画」「働くイメージがつくような先輩社員インタビュー」というニーズに応えるために、社員の一日の業務を追った動画や、インタビュー動画の活用が有効です。テキストや口頭での説明では伝わりにくい職場の雰囲気や業務の流れを、視覚的に伝えることができます。
社員クチコミ正直レビュー:
「いいところだけじゃなくネガティブな情報を伝えてくれると信頼できる」という声があるように、企業の良い面だけでなく、課題や改善点についても正直に伝えることで、学生からの信頼を獲得できます。完璧な企業は存在しないということを前提に、透明性の高い情報開示を行うことが重要です。
不安払拭の具体的方法
第三のポイントは、「不安払拭」です。学生の就職活動における不安を解消し、安心して応募できる環境を作ることが志望度向上につながります。例えば次のようなコンテンツです。
数字でわかるホントのこと:
残業時間、有給取得率、離職率、昇進実績など、学生が気になる数字を正直に開示することで、企業への信頼感を高めることができます。数字による客観的な情報提供は、学生の不安解消に直結します。
社員の家族によるサプライズ登場:
動画インタビューなどで働く社員の家族に登場してもらい、「仕事と家庭の両立」や「職場への満足度」について語ってもらい、企業の働きやすさを第三者の視点から伝えることができます。家族が認める職場であることは、学生にとって大きな安心材料となります。
「ガクチカ聞きません宣言」:
従来の就職活動で重視されがちな「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」にとらわれない採用方針を明確に示すことも、多様な学生にとって応募しやすい環境を作ることができます。これは企業の包括性や多様性への配慮を示すメッセージとしても機能します。
5. プロと一緒に作る説明会のメリット
志望度を高める説明会の企画設計には、それなりの時間と労力が必要です。社内のリソースに頼るだけでなく、ぜひ採用支援のプロと一緒に作るという選択肢も検討してみてください。
60年の採用支援実績から得たノウハウの共有
トーコンは昭和41年の設立以来、60年近くにわたって業界や職種を問わず様々な企業の採用支援事業を続けてきました。お客様の採用課題解決に取り組む中で蓄積されたノウハウは、説明会の企画・運営においても大きな価値を発揮します。
業界特有の魅力の伝え方、職種別の学生ニーズ、企業規模に応じた最適なアプローチ方法など、豊富な事例とデータに基いた提案を行うことができます。また、時代とともに変化する学生の価値観や就職活動のトレンドについても、常に最新の情報を把握しています。
トーコンは単なる説明会の制作代行ではなく、採用戦略全体を見据えたパートナーとして、企業の採用成功を支援します。
学生目線でのコンテンツ設計サポート
説明会で最も重要なのは「学生目線」での企画設計です。企業側が伝えたい情報と、学生が知りたい情報には往々にしてギャップがあります。
実際に就職活動を経験した若手社員の視点から、「この情報は魅力的に感じるか」「この表現は伝わりやすいか」「時間配分は適切か」といった意見も取り入れ、企画していきます。企業内部では気づきにくい改善点や、学生にとって本当に価値のある情報を見極めることができます。より学生に響く説明会コンテンツの作成をサポートします。
デザインから進行まで協働でのブラッシュアップ
効果的な説明会の実現には、コンテンツだけでなく、資料のデザインや進行方法も重要な要素です。トーコンでは、以下のトータルサポートを提供します。
高品質デザインによる資料制作:
説明会資料の制作において、視覚的に魅力的で情報が整理されたデザインを提供します。納品後の修正・追加も企業側で簡単に行うことができます。デザインのみの依頼も承ります。採用サイトや会社パンフレットと連動したデザインにすることで、ブランドの一貫性も保てます。
多様なサービスメニュー:
取材・撮影の実施、説明会へ代理で登壇、動画制作、有料フリー素材の提供など、説明会の質を高めるための様々なオプションサービスも用意しています。企業のニーズや予算に応じて、柔軟にカスタマイズした提案を行います。
まとめ:会社説明会の見直しは、採用成功への第一歩
新卒採用市場の激化が続く中、会社説明会を見直し、改善することは企業にとって必須の取り組みとなっています。本記事で紹介した調査結果から明らかになった「説明会を見直すべき3つの理由」は以下の通りです。
①記憶定着率の低さ: せっかくの説明会も今のままでは6割以上が記憶に残らない
②司会者とデザインの重要性: 内容以外の要素が企業イメージに大きく影響する
③学生ニーズとのギャップ: 企業が話したいことと学生が聞きたいことの乖離
これらの課題を解決するためには、「興味関心を引く工夫」「動機形成につながる要素」「不安払拭の仕組み」という3つのポイントを意識した説明会設計が重要です。そして、その実現のためには、豊富な経験とノウハウを持つプロとの協働が有効な選択肢となります。
トーコンでは、60年の採用支援実績と学生目線を大切にし、企業の採用成功を支援しています。現在の説明会の見直しをお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
お問い合わせ
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