HOME 組織について 見えないからこそ、見えてくる。 第5回:自社の「当たり前」は社外の「非常識」―就活ハラスメントを防ぐダイバーシティの視点

見えないからこそ、見えてくる。 第5回:自社の「当たり前」は社外の「非常識」―就活ハラスメントを防ぐダイバーシティの視点

見えないからこそ、見えてくる。 第5回:自社の「当たり前」は社外の「非常識」―就活ハラスメントを防ぐダイバーシティの視点

近年、どの業界でも、大手/中小企業も関係なく人手不足で悩む企業様が多い中で、応募者が選考プロセスで感じる企業への違和感が、選考辞退や内定辞退の大きな要因となる。そんなトラブルが増えています。
2026年10月に施行された改正男女雇用機会均等法により、採用活動を行うすべての企業に対し、求職者に対する「就活ハラスメント」の防止措置が義務化されました。
そもそも、「就活」=新卒採用に限定した話、と誤解している方もいらっしゃいますが、これはあらゆる採用に適応されるものとなります。まさに、選考現場におけるリスク管理は経営や採用の至上命令となっています。

就職活動や選考の過程で、立場を利用して求職者のプライベートに過度に踏み込んだり、不適切な言動に及んだりする行為は、求職者の尊厳を傷つけるだけでなく、企業の社会的信用を一瞬で失墜させる重大なリスクです。

そこで今回は、この「就活ハラスメント」ついて、ダイバーシティの視点から考えて見たいと思います。

そもそも、現場で起きる問題の多くは、明確な悪意によるものばかりとは限りません。
その根底には、誰の心の中にも潜んでいる「無意識バイアス(アンコンシャス・バイアス)」が存在しています。

「自分は偏っていない」という思い込み

無意識バイアスとは、これまでの育ち方や経験、所属する組織の当たり前によって、自分では気づかないうちに身についた「物事の捉え方や偏った思い込み(先入観)」のことです。これは特定の誰かだけにあるものではなく、人間であれば誰にでも存在します。

例えば、障がい者に対する接し方を考えてみてください。
「手助けしなければいけない」「配慮すべき弱者である」と決めつけるあまり、相手が本当に求めている支援や対等な意思疎通を見落としてしまうことがあります。悪気はなくとも、「自分の物差し」だけで相手を測ってしまっている状態です。

これは、障がいの有無に限りません。自分とは育ってきた環境やカルチャーがまったく異なる「未知の存在」と対峙したとき、人は無意識に、自らが慣れ親しんだ枠組みや価値観を当てはめようとしてしまいます。

自社の「内輪の常識」が、社外の「暴力」に変わる瞬間

この無意識バイアスが極めて危うい形で表出するのが、採用・就活の現場です。

求職者は、自社の社員ではありません。社内の阿吽(あうん)の呼吸や「うちの会社ではフランクなコミュニケーションが美徳」といった内輪のカルチャーを共有していない、独立した一人の人間です。
さらに言えば、「選考を受ける側」と「評価・合否を決める側」という、圧倒的な立場の非対称性が存在します。

面接官やリクルーターが「親身に相談に乗ってあげよう」「本音を引き出すためにフランクに接しよう」と個人的な食事に誘ったり、プライベートな質問を投げかけたりする行為。本人に悪意はなく、むしろ「良かれと思って」やっているケースすらあります。

しかし、そこには以下の無意識バイアスが潜んでいます。

● 「相手も自分と同じように、親切として受け取っているはずだ」という思い込み
● 「合否を握られている相手は、嫌でも断れない」という立場の重みへの無自覚
● 自社の社風や上下関係を、社外の求職者にも無制限に持ち込んでよいという甘え

相手を「自社の常識に従わせる対象」として扱い、一人の選択する権利を持ったステークホルダーとして尊重できていないとき、無自覚なハラスメントが発生します。

「見えないバイアス」に気づくことが、選ばれる企業の第一歩

前回のメルマガでご紹介した、ベテラン社員の木下と全盲社員の日向の協業ストーリーでも、最大の壁となったのは「これくらい話せばわかるだろう」という無意識の思い込みでした。

自分が見えている世界と、相手が見えている世界は違う。その「見えない差」に気づき、泥臭く対話を重ねてすり合わせることこそが、真のチームビルディングにつながります。

就活ハラスメントの防止も、単に「やってはいけない行動リスト」を暗記するだけでは根本的な解決になりません。

● 自分自身や自社のカルチャーに、どのような無意識の偏りがあるのか
● 立場の異なる相手の視点や尊厳を、本当に尊重できているか

こうした「自社の盲点」に気づき、組織全体でアップデートしていく姿勢こそが、これからの求職者から信頼され、選ばれる企業の土台となります。

ちなみに、10/29(木)には【Z世代の心を折っていませんか?法改正から読み解く “うっかりハラスメント”防止法】というセミナーも実施します。もしご興味ございましたらこちらもご参加ください。

自社の「無意識バイアス」を可視化し、リスクを強い組織力へ

特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会とトーコンでは、「見えないことへの気づき」を体感し、アンコンシャス・バイアスによるトラブルの解消を目指す実践的な企業向け研修を提供しています。

● 選考官やリクルーターのコンプライアンス・ハラスメント防止意識を高めたい
● 「自社の常識」を疑い、多様な人材が活躍できる組織風土をつくりたい
● 形骸化した研修ではなく、社員の深い内省と行動変容を促したい

このような課題感をお持ちの企業様は、ぜひお気軽に以下のお問い合わせフォームよりご相談ください。

注記/ブラインドサッカーは日本ブラインドサッカー協会によって商標登録されています。

個人情報保護方針
前原 加奈
【株式会社トーコン XPO推進部 フェロー】 東証プライム上場の機械・部品メーカーでの採用担当経験や、大手人材総合企業で大学でのキャリア教育開発等に携わる。現在はトーコンにて、人事として採用や従業員の成長支援を行う傍ら、企業の研修講師なども手掛ける。 <保有資格> ・国家資格キャリアコンサルタント ・日本MBTI協会認定ユーザー ※心理検査のエキスパート資格保有
おすすめ記事Recommended articles