HOME 事例紹介 【給与アップ事例】「受付事務職は売上を作れない」は大嘘だ。1年で利益倍増・賞与増額を実現した“たった1%”の行動変容

【給与アップ事例】「受付事務職は売上を作れない」は大嘘だ。1年で利益倍増・賞与増額を実現した“たった1%”の行動変容

【給与アップ事例】「受付事務職は売上を作れない」は大嘘だ。1年で利益倍増・賞与増額を実現した“たった1%”の行動変容

トーコンニュース編集部です。

経営者の皆様、「受付事務職は直接売上を作らないから、生産性の上げようがない」と諦めてはいませんか? もし少しでもそう思われているなら、この記事はあなたの会社の未来を大きく変えるきっかけになるはずです。

2020年代に目標とされる「最低賃金1,500円」。 今年度も+6%の引き上げ方針が決まり、この先5年間、毎年6%の成長が求められる計算になります。現状維持は、事実上の「衰退」を意味する時代がやってきました。

そんな逆風の中、ある企業が驚くべき成果を上げています。 従業員数が減ったにも関わらず、売上は昨対比115%を記録。 その結果、全員の賞与を昨年夏より増額して支給することができました。

このV字回復の鍵を握っていたのは、トップ営業マンでも画期的な新商品でもありません。 実は、「直接売上を作らない」と思われていた受付事務職の行動変容にあったのです。

彼女たちの「たった1%の行動変容」が、いかにして利益を生み出し、会社を筋肉質な組織へと変貌させたのか。 その驚くべき全貌と、業種を問わず今日から使える具体的な手法を公開します。

離職防止・給与不満に効く人事評価制度

1. 迫りくる「時給1,500円時代」の現実と、中小企業の危機

「最低賃金1,500円」。 ニュースでこの数字を見るたび、胃が痛くなる思いをされている経営者の方も多いのではないでしょうか。

政府が掲げるこの目標を実現するためには、私たち中小企業は毎年6%以上の賃上げを続けなければなりません。 これは単なる努力目標ではありません。これからの5年間、毎年6%成長し続けなければ、現状維持どころか、企業としての「存続の危機」に直面することを意味します。

しかし、多くの現場では「うちは関係ない」「なんとかなるだろう」と、この現実を直視できずにいるのが実情ではないでしょうか。 あるいは、「これ以上、どこから原資を捻出すればいいんだ」と、途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。その不安は、痛いほどよく分かります。

2. 「受付事務職はお金を生まない」という思い込みを捨てる

ここで、ある歯科医院の実例をご紹介しましょう。 この医院でも、賃上げ原資の確保は喫緊の課題でした。

データを分析すると、6%の成長のためには従業員一人当たり月間約19万円(年間228万円)の生産性向上、つまり売上アップが必要だという計算になりました。 客単価を1万円とすると、スタッフ一人につき月19件も多くの患者対応をしなければならない計算です。

この数字を見て、現場からはこんな声が上がりました。 「歯科衛生士ならともかく、受付事務職は直接サービスを提供しないから、売上なんて作れませんよ」

いわゆる、「受付事務職は会社のお金を使うだけで、利益は生まない」という考え方です。 「机上の空論だ」「現場を知らない」と、頭を抱える幹部の方もいました。

確かに、受付事務職は直接商品を売りませんし、サービス提供もしません。 しかし、本当に彼女たちは「売上を作れない」のでしょうか? 実は、この「固定観念」こそが、多くの中小企業が成長を止めてしまっている最大のボトルネックなのです。

次のパートでは、この歯科医院がどのようにして「受付事務職が売上を作る」というパラダイムシフトを起こし、劇的な成果につなげたのか。その具体的な「仕掛け」について解説します。

3. 年間228万円の利益を生んだ「おせっかい」と「隙間時間」

では、実際に彼女たちは何を変えたのでしょうか? 行ったことは、大きく分けて3つの「小さな行動変容」でした。これらは、どのような業種の企業であっても、明日からすぐに転用できるアクションです。

1.「稼ぐ人」の時間を創出する(分業の最適化)

最も大きな変化は、「誰でもできる仕事は、徹底的に巻き取る」という動きでした。

この医院では、受付事務職が「私がやっておきますね」と、専門職(歯科衛生士)が使う器具の片付けや準備を先回りして行いました。また、経営者が残業して行っていた事務作業も奪い取りました。 これにより、専門職や経営者は「自分にしかできない高付加価値な仕事(=売上を作る時間)」に集中できるようになったのです。

これを皆様の会社に置き換えてみてください。 例えば、トップ営業マンが提案書の「てにをは」修正やコピー取りに時間を割いていませんか? 受付事務職がその時間を巻き取り、営業マンが「あと1件、顧客に電話する時間」を作ることができれば、それは間接的に受付事務職が売上を作ったことと同じなのです。

2.「機会損失」をゼロにする(受注率の向上)

以前は、忙しい時に急な問い合わせがあると、受付事務職の判断で「今は予約がいっぱいです」と断ってしまうことがありました。 しかし、これを禁止し、「必ず歯科衛生士に相談し、スケジュールの隙間にねじ込む」という運用に変えました。

「もう無理だ」と諦めず、パズルのように隙間を探す。 この1件1件の粘りが、積もり積もって年間数百万円の差になりました。

飲食店なら満席時の「空いたらお電話しましょうか?」の一言、建設業なら急な依頼に対する「工期調整の相談」。
「忙しいから」を理由に断っている仕事の中に、莫大な利益が眠っています。それを拾い上げるのは、現場の最前線にいる受付事務職の意識次第なのです。

3.「おせっかい」を焼く(顧客ロイヤリティの向上)

そして最も重要なのが、「おせっかい」の精神です。 自動精算機に戸惑っている高齢のお客様がいれば、すぐに駆け寄ってサポートする。「ごめんなさい」と謝られたら、笑顔で「いいんですよ」と返す。

こうした数値化しにくい「気遣い」が、顧客満足度を高め、結果としてリピートや紹介を生み出しました。 これは、BtoB企業の「電話対応の明るさ」や、小売店の「気の利いた一言」と全く同じです。「またこの会社にお願いしたい」と思わせるファン作りは、受付事務職こそが主役になれる舞台なのです。

彼女たちがやったことは、特別なスキルの習得ではありません。 「自分の仕事はここまで(タコつぼ化)」という線を引かず、チームの勝利のために一歩踏み込むこと。

次のパートでは、この地道な取り組みがもたらした「衝撃的な数値結果」と、スタッフに還元された「賞与の実額」について公開します。

4. 【実証】人が減っても売上115%UP。評価制度が起こした奇跡

「たった1%の行動変容」が、実際にどれほどのインパクトを経営数値にもたらしたのか。 ここからは、紛れもない「事実」をお伝えします。

■ 人員減でも「売上115%増」の衝撃

この企業の2024年下半期の実績をご覧ください。 なんと、スタッフ数が1名減ったにもかかわらず、売上は前年同期比で115%を達成しました。

目標達成率: 113%

顧客増加数: 約750名増(※単価1万円換算)

売上人件費率: 約20%から約18%へ改善

通常、人が減れば売上は下がるのが常識です。しかし、既存メンバーが「隙間時間」を埋め、「機会損失」を無くしたことで、一人当たりの生産性が劇的に向上しました。 結果として、企業としての利益体質が強化され、「賃上げ余力(原資)」が十分に生まれたのです。

■ 運命の賞与査定会議。「満額回答」の瞬間

そして迎えた、賞与の確定会議。 ここで提示された評価ランクは、なんと全員が「A評価」以上でした。

原資総額は、昨年の夏と比較して33万円の増額(113%UP)。 個人の評価で見ると、最高評価(S+)を獲得したスタッフは、昨年より9万円もアップした金額が提示されました。

経営者は、提示された金額を見てペンを舐める(迷う)こともなく、こう言いました。 「これでいきましょう。みんなよく頑張った!」 気持ちのいい、満額回答の一発OKです。

これは、経営者が身銭を切って無理をしたのではありません。スタッフたちが自らの行動で原資を稼ぎ出し、正当に勝ち取った報酬なのです。

■ 勝因は「決めた目標にこだわり切った」こと

なぜ、ここまでの成果が出せたのか? それは、全員が「会社のバリュー(行動指針)に向き合い、目標にこだわり切ったから」に他なりません。

例えば、「新規顧客数」の目標。 忙しくなると「売上目標は行ってるから、新規は断ってもいいか」という甘えが出がちです。しかし、彼女たちはそれを良しとしませんでした。「決めた目標だから」と最後まで粘り、工夫を凝らしたのです。

この「凡事徹底」こそが、労働集約型の中小企業が勝つための唯一にして最強の戦略です。 特別なITツールも、スーパーマンも必要ありません。今いるメンバーで、今すぐ始められることなのです。

5. 明日からできる「1%の変革」で、会社は強くなる

最低賃金1,500円へのロードマップは、確かに中小企業にとって脅威です。 しかし、今回の事例が証明したのは、「生産性は、莫大な投資をしなくても、日常の些細な行動変化で劇的に上げられる」という希望でした。

■ 明日から実践できる5つのアクションリスト

あなたの会社でも、明日から以下の5つを意識してみてください。これらは、役職や職種に関係なく、誰でもすぐに実践できることばかりです。

  1. 食わず嫌いをしない:「無理だ」「やったことがない」と諦める前に、まずは一度トライしてみる。
  2. 仕事の境界線を越える:「自分の仕事はここまで」という線を消し、忙しい人の仕事を積極的に巻き取る。
  3. 苦手に立ち向かう:避けていた業務や新しいツール(ITなど)に、少しだけ向き合ってみる。
  4. 「おせっかい」を焼く:お客様や同僚に対して、求められている以上の気遣い(プラスワン)を提供する
  5. 機嫌よく働く:職場の空気を良くすることも、立派な業務の一部と心得る。

■ 「やりがい」を「仕組み」に変える

最後に、一つだけ重要なポイントをお伝えします。 この事例の企業が成功した裏には、「頑張った人が正当に報われる評価制度」の存在がありました。

スタッフが勇気を出して行った「おせっかい」や「隙間埋め」を、経営者がしっかりと見て、評価し、賞与という形で還元した。 この信頼のサイクル(仕組み)があったからこそ、スタッフは安心してアクセルを踏み続けることができたのです。

精神論だけで、社員に「もっと働け」と言うのは酷です。 しかし、「成果を出せば、ちゃんと自分たちに返ってくる」という確信があれば、人は驚くほどの力を発揮します。

■ 変化を恐れず、共に成長する企業へ

「賃上げなんて無理だ」と嘆く前に、まだ社内に眠っている「隙間」や「可能性」に目を向けてみませんか? 1日1%の改善でも、1年積み重ねれば見違えるような筋肉質な組織に生まれ変わります。

まとめ

私たちトーコンは、そんな「人が育ち、業績が伸びる評価制度」の構築支援を通じて、多くの中小企業の成長に伴走しています。 もし、「うちの社員も変われるだろうか?」「何から始めればいいか分からない」と思われたら、ぜひお気軽にご相談ください。

「最低賃金アップなんて怖くない」。 そう笑って言える未来を、一緒に作っていきましょう。

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